新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2008年6月17日火曜日

Aさん不当人事異動裁判 (県人事委員会審査請求)口頭審理終わる

矛盾だらけの説明、深まる学閥の関与!     

「県異動方針通りの異動だ」を繰り返す県側の尋問

口頭審理は最初に県側の代理人が、証人である元県教委参事(当時のAさんの担当管理)に人事異動の目的や異動方針について確認することから始まり、Aさんの本件異動にかかわる経過が適正な手続きをもって行われたことを立証する形で進められました。
異動会議において、校長が同席する中で、市町村教育委員会教育長から直接意見を聞いたこと、その後、在籍していた市教委から免職が、異動先のA市からは採用の内申があったことを確認し、異動手続きが適正に行われたことなどを型どおりに確認していきました。「異動経過説明」と「内示」の食い違いについては、「ことばの教室(担当)でとは言っていない。ことばの教室のある学校でと言ったはずだ」と主張し、あたかもAさんが「ことばの教室で」と聞き違いをしたかのように口裏合わせをしてきました。さらに、「内地留学後の異動のルールは存在しない」(内地留学したからと言って通級指導教室の担当になるとは限らない)ことを確認し、本件異動が定期の人事異動と何ら変わらないものだったとの主張を展開しました。そして、「通級指導教室」の指導者か「通常学級」の担任かは、異動先の校長の裁量であると責任逃れの証言までとび出しました。
最後には「本来人事異動は自由な裁量に委ねられている」ものであり、「本人の希望がそのまま通る異動はない」という高圧的な姿勢を見せ、さらに「本件異動前と異動後で職務内容も給与面でも何ら変わりがない」ことをもって、「健康上の理由のため健康破壊につながること」「現場で言語通級指導教室の担当者として貢献しようとしていた実践の展望が損なわれたこと」は「不利益な処分」には該当しないという結論を主張しました。

組合との確認事項は無効?

組合では「内地留学生の異動については在籍校長のみならず前任校の校長とも十分連絡を取り、本人の希望を十分把握して行う」「内地留学生は計画的に人材配置ができるよう県の方で責任を持って行う」「異動原則は、推薦された教育委員会または近隣の学校である」ことを05年11月4日の交渉で確認しています。また、06年2月10日には「第1回人事異動会議で各校長に人事異動の経過を本人に対し伝えるように県は指示している」「もし経過説明がない場合は県に連絡を入れれば県から校長を指導する」ことを確認しています。こちらの代理人が、これらを証人に確認すると、「それは交渉ではなく『申し入れを聞く会』であり、話を聞いただけである」「これは確認には当たらない」「個々の異動については管理運営事項であり、交渉は行わない」などと言い始めました。この誠意のない発言には驚きました。しかし、当時の管理企画係のTさんは「信じてもらっても構いません」と述べているのです。交渉であろうが申し入れであろうが、両者が話し合って確認したことをゼロにしようとする姿勢は許せません。
 

700万円もかけて研修した内地留学生の異動はいったい誰が責任をもつのか?

~推薦した市町村任せ、校長任せでいいのか?~

さて、本件の問題の核心に迫る質問です。「内地留学後は推薦された市町村にもどるという原則があるというが、戻らなかった内地留学生もいますね」と言うと、それを認める証人。「ではAさんも戻らなくてもよかったはず。在籍している市町村でも空きがあったのに、なぜA市にもどされたのですか?」と質問すると、「推薦したところに戻るのが原則だから」と繰り返します。そして、「『ことばの教室』がある学校に異動させた」と、あたかも配慮して言語通級指導教室のある学校に異動させてやったと言わんばかりです。そして、前述したとおり「通常学級の担任にするか通級指導教室の担当にするかは校長が決めた」と。そのことについてAさん本人が「私が異動先の学校で言語通級指導教室を担当する確率は?」と聞くと、「低かった」と答えます。Aさんが通級指導教室の担当ではなく通常学級の担任になることを知っていながら、A市に戻したのです。それを異動先の校長に責任を押し付けるのは、「内地留学生は計画的に人材配置ができるよう県の方で責任を持って行う」に反しています。市町村に戻らない内地留学生もいたのに、なぜAさんは戻ることに縛られ、在籍していた市町村の空きポストに異動できなかったのでしょう。
 そもそも言語通級指導教室の担当というのは、専門性の高い希少ポストです。県が税金を使って内地留学生として研修をさせたからには、研修後は計画的にそのポストに配置していくべきです。それができなかった本件異動には、やはり問題があるのです。裏で恣意的な動きがあったとしか思えません。

Aさんの健康状態が伝わらなかった

不十分な具申が明らかに!

Aさん本人が質問しました。「私の足の障害について、在籍校の校長からどのように聞いていましたか?」すると、証人は「聞いていません」。これはどういうことでしょう。Aさんは「足が悪く通常の担任をする自信がないので、何としても通級指導教室の担当にしてくれとお願いした」と言っています。健康上の問題こそ配慮してもらわなくてはならないことです。そこを伝えなかった在籍校の校長の大きなミスです。さらに「内地留学生の異動については在籍校長のみならず前任校の校長とも十分連絡を取り、本人の希望を十分把握して行う」と言っていたはずの県の怠慢さが明らかになりました。

「適材適所ではなかったかもしれません」と答えた証人!

当局の尋問の中で、人事異動の目的について「適正な数で適材適所の人員配置をすることにより、各公立小・中・養護学校の教育課程の円滑な実施を可能とするために、定期の人事異動を行う必要がある」という説明がありました。そこで、Aさん本人が「私のような足の悪い教員が通常学級を担任することは、適材適所と言えますか?」と問いました。証人は「可能だと思っていた」と言いました。「可能か不可能かではなく、適材適所かと聞いているのだ」と言うと、とうとう「適材適所ではなかったかもしれません」と述べました。私たちは、Aさん個人の問題としてではなく、教育を受ける子どもの権利という点でも、本件異動には問題があると思っています。「足の悪い教員が担任することについて、担任された子どもに不利益があると思いませんか」という質問には「ないと思います。得るものはあると考えます」と答えた証人。子どもたちに不利益があっては申し訳ないと思いながら必死に担任としての仕事をこなしてきたAさんの苦労や職場での配慮がどれほどのものであったか想像できないのでしょうか。それを「可能だ」「子どもに不利益はない」などと簡単に言わないでもらいたいのです。証人もそう言わざるを得なかったように、やはりこの人事は「適材適所ではなかった」のです。
教員の希望や子どもや親のニーズを尊重した人事を行うことが子どもの教育権を保障することにつながるのです。そのことを軽視した県教委の姿勢が明らかになりました。

傍聴に来てくださった皆さん、
ご支援ありがとうございました。

一人700万円もかけ、内地留学で学んだ経験が生かされない新潟県!

不透明な内地留学生人事異動!

納得できない事実が次々発覚!

新潟市在住の小学校教諭Aさんは股関節障害を患い、通常学級の担任を長く続けることが困難だと考え、言語通級指導教室の担当になろうと決心し、05年(H17)度に新潟大学特別支援教育の内地留学生として学びました。内地留学を終えた06年(H18)年春の異動希望は家から通える「言語通級指導教室担当」でした。しかし、県教委K元参事(当時の担当管理・現新潟市山ノ下小校長)は県内の通級指導教室担当者の異動状況を把握しないまま、「AさんをA市に回したのは私である」と述べ、AさんはA市の小学校の通常学級担任として異動させられました。県は「人事を行うのは県である」と言っているにもかかわらず、県はその年の言語通級指導教室担当者の人事異動の状況を把握していなかったことが組合交渉で明らかになりました。
特別支援教育の内地留学生一人には700万円の県民の税金が使われています。Aさんのように専門的に学んだ教員の経験が生かされない場合がある一方で、県内では内地留学の経験のない教員が特別支援通級指導教室の担当に据えられるということも・・。県が人事異動の状況を把握せずに人事異動が行われている事実をどう理解すればよいのでしょうか?

校長、地教委、県教委一体化の学閥人事が差別人事を生み、県の教育を牛耳る! 

県は人事異動を県教委が行うとし、広域人事を推し進めてきました。しかし、Aさんの異動のように県教委が県内の異動状況を把握しなくても人事異動が進んでいくシステムがあるとしか思えません。県教委に変わって人事を行っている組織(学閥)の存在は明らかです。
 一昨年より県は「地域に根ざした教育を行えるように居住地を中心とする人事異動を行う」としていますが、依然として広域人事は残したままです。新潟市政令市移行に伴う人事異動の方針の不透明さや教員評価と人事をリンクさせる動きもあいまって、人事に対する不安が増せば増すほど、裏では学閥会員とその家族が優先される「派閥人事」が教員人事を牛耳ります。
これは教育基本法第10条の「教育は不当な支配に服することなく国民全体に対し直接に責任を負って行われるもの」に違反します。

Aさん県人事委員会提訴、口頭審理へ

Aさんは06年度人事異動が不服と、県人事委員会に提訴しました。昨年からの準備手続きを経て現在口頭審理が行われようとしています。これまでの答弁書のやり取りの中で明らかになったことは、県教委は「県の人事異動方針どおりにAさんを異動させたもの」という答弁しかできないということです。県教委が県内のすべての教職員の人事を行うとしながら、なぜ少数職の言語通級指導教室担当者の県内異動状況が分からなかったのか?
今回のAさんの異動が「県人事異動方針」からいかにかけ離れたものであったかを明らかにするとともに背後にある県に変わって人事異動を行っている組織(学閥)の関与を追及します。
 学閥による不当人事をやめさせ、教職員の権利を守ることは子どもたちの教育権を保障することにつながります。Aさんの人事異動裁判に対するご支援をよろしくお願いします。 

人事異動SOS!私たちにはこんな権利があります

人事異動SOS!私たちにはこんな権利があります


 いよいよH19年度人事異動の内示が始まります。管外異動はなくなったとは言え、ABCD人事に見るように、新潟県は全国でもまれに見る広域人事異動方針です。また人事異動の内示が年を追うごとに遅くなり、引越しが予想される異動者に不安を与えています。さらに新潟市の政令市移行に伴って、すでに昨年度くらいから新潟市在住者で市内への異動を希望する人に対し、「新潟市は入りにくい」と管理職が説明する事例も多く聞かれます。

「学閥人事」の温床を生む新潟県の人事異動

このような厳しい人事異動方針が設定されればされるほど、学閥を中心とする「裏人事」が幅を利かせます。学閥に否定的な多くの教員もこれによって支配され、本来ならば不当な人事異動に対し闘わなければならない組合も「御用組合」と化し、人事異動に対しては及び腰です。学閥による「御用組合」の不当人事に対する運動は個々の事例に対し県教委に直接交渉するのではなく、組合内学閥組織を通じて内部交渉され、「無難」なところに落ち着かされています。

 新教労が発足した04年(H16)に、県教委に過去の新教組による不当人事異動申し立ての有無を確認したところ、県教委は「これまで県教委に不当人事の申し立ては持ち込まれたことがない」と明言しています。「新教組に不当人事をに解決してもらった」という話を聞きますが、法律で認められた権利を最大限利用し、新教組が不当人事異動に対し闘った経験はなかったのです。

 これまでの不当人事は県・市町村教委・管理職・新教組が一体となった学閥の内部操作により「解決」させられてきたのです。これが新潟の学閥人事を一層はびこらせることつながっているのは言うまでもありません。

不当な人事異動にはこう闘えます!

1 納得人事が基本。異動強要に対し「異動しません」ときっぱりと言えます。

希望と違う人事異動に関しては「県の方針があるから」「過員解消だから」と管理職に言われても「残留」できる権利が教職員にはあります。経過説明の時に言われたらきっぱりと「異動しません」と言いましょう。

2 不当な内示には県人事委員会に「措置要求」を!

「管理職には異動経過を本人に伝えるよう指導している」と県教委は言っていますが、実際にはそうでない管理職も多いのです。特に本人の異動とかけ離れている場合、ギリギリまで話さず「もう新聞発表だから無理」とうそぶく管理職も多いとか。この場合、県人事委員会に「措置要求」を提出し、3月31日までに内示の撤回を求め闘うことができます。(地方公務委員法第46条)

3 辞令が出ても県人事委員会に「審査請求」の不服申し立てを!

それでも県が辞令を降ろしてきたら、人事委員会に「審査請求」を提出して継続して闘えます。人事委員会は学閥とは無縁な第三者による審査機関です。(地方公務員法第49条)
審査請求は裁判と同じ手法が取られ、代理人も認められます。そして誰の手によって、どのような経緯で人事異動が内示されたのかを証人尋問ができます。まただれでも傍聴ができます。

A先生の人事異動裁判が県人事委員会で現在進行中です


新教労は今年度A先生の不当な人事異動で審査請求を行い、現在人事委員会で審議中です。これまでの文書のやり取りで、この問題で明らかになってきたことが二つあります。


① 「県教委が県内の人事異動をすべて行う」と言っておきながら、県が異動の空き状況を把握していない事実が明らかになってきました。つまり、県教委でない第三者(学閥)の人事異動の介入が浮び上がってきました。

② 県教委は「人事異動の経過説明」を行うと言っておきながら、実際に行われた異動経過説明の内容を真っ向から否定しています。


現在二回の準備委員会が持たれ、いよいよ証人の口頭審理に向けて動き出しました。
人事異動口頭審理の日程は未定ですが3月20日以降の新教労HPに日程を掲載する予定です。詳しい内容をお知りになりたい方は、新教労までお問い合わせください。