私たちは、現行の給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)等が抱える根本的な問題を放置したまま、今回の改定が教育現場の状況をさらに悪化させるものであり、改定に断固反対します。
教員の多忙化はもはや看過できないレベルに達しており、教育の質の低下、子どもたちの成長に負の影響を与えています。私たちは、以下の点について、政府及び関係機関に対し抜本的な改善を強く求めます。
1. 在校等時間の月平均30時間抑制目標に実効性はない
「在校等時間を月平均30時間に抑える」という目標は、その根拠が極めて不明瞭であり、現状とかけ離れた数値目標です。学習指導要領を大幅に削減しない限り、この目標達成は不可能で、何ら実効性を期待できるものでなく、むしろ数値操作が行われ、教育委員会から実態と乖離した報告が、文部科学省に上げられる懸念があります。
2. 時間外手当を不支給にして労働基準法を踏みにじる
給特法によって、公立学校の教員には時間外手当が支給されないという原則は、労働基準法の精神と著しく乖離しています。法定労働時間を大幅に超える勤務が常態化しているにもかかわらず、その対価が支払われない現状は、教員の過重労働を容認し、その犠牲の上に教育が成り立っていることを意味します。これは、法の抜け穴を利用した労働者の酷使であり、罰則規定を設けてただちに制限すべきです。
3.不公平な手当の廃止・減額と特別支援教育への軽視は許されない
「義務教育等教員特別手当」の減額や、特別支援学校や特別支援学級を学級担任加算の対象としないことは看過できません。文部科学大臣が「全ての教師が特別支援教育に関わることが必要」と述べる一方で、特別支援教育に携わる教員に支給されている「給料の調整額」を半減することは許せません。
4.「主務教諭」創設による組織のさらなる分断は教育の管理統制を強める
「主務教諭」という新たな職の創設は、校長を頂点とする管理職層を肥大化させます。副校長、教頭、主幹教諭、主任教諭と職層を細分化することは、職場のさらなる分断を招き、教育の管理統制を一層強め、公教育の破壊につながります。
私たちは政府に対し、現場の教員の声に耳を傾けず採決を強行したことに強く抗議し、これからの県教育委員会交渉に全力を尽くします。
2025年7月7日
新潟県教職員労働組合