新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2012年5月1日火曜日

小・中学校教育研究会は任意団体なのになぜ強制加入なのか?

このところ「学力の向上」「授業力の向上」が叫ばれ、研究授業が大はやりです。
確かに学校の責務の一つは「学力の向上」であり、教師にとっては「授業がいのち」です。しかし、文科省の「全国一斉学力テスト」実施以来、「学力向上」競争が過熱し、異常な状態が続いていると思いませんか?「校内研」でも、「小教研」「中教研」でも、「初任研」でも、「○年次研」でも、「研究授業」のラッシュです。若い人たちはまさに「研修漬け」という状態です。
ところで、小(中)学校教育研究会(以下「小・中教研」)の入会手続きをしたことがありますか?
任意の研究団体であるはずなのに、なぜ全員がいつのまにか入らされているのでしょうか。


小教研8000人のからくり

「小教研」のHPには「平成21年度学校数546校会員数8281人」と言う数字が載っています。県下の職員ほぼ全員が加入していると言わんばかりにその数の多さを誇っていますが、このうち何人の人が入会の手続きをとっているのでしょうか?
おそらくどこの学校でも、4月初めに回ってくる会員名簿に、校長が勝手に全職員の名前を書いて出すだけです。教頭から専門部の希望回覧が回るころには全員が会員になっているのです。
 これだけ大規模で組織や事務局体制が整っている研究団体であるはずなのに、「会則」に入・退会の規定がないのもおかしなことです。加入・脱退の自由のない団体に果たして研修の自由があるのでしょうか。

やはりそうだった! これでは校長会の下請け団体

「中教研」のHPに、「平成20年度新潟県中学校教育研究会運営方針及び事業内容」というページがあります。その冒頭に、次の運営の基調が述べられています。

新潟県中学校教育研究会は,新潟県中学校長会の中心課題『未来を切り拓く豊かな人間性と創造性を備えた生徒を育てる中学校教育』を研究主題として,次の方針のもとで事業を推進する。

 研究主題は、その研究団体の存立基盤にかかわる重要な事柄ですが、「中教研」の研究主題は「新潟県中学校長会の中心課題」を掲げているのです。会員の総意にもとづいて研究主題が決定されているわけではなく、これでは、まさに校長会の下請け機関ではないでしょうか。

果たして子どものためになっているのか?

新潟市小教研に教師、保護者から疑問の声

新潟市小教研は毎月一回、すべての小学校を午前授業にし、午後は子どもを下校させて研究会を行っています。市に合併する前の市町村は年2~3回程度の研修会でしたのでこの地域の教員や保護者からは疑問の声が上がっています。
また、先の市の中教研総会会場には駐車場が確保されず、教職員は駐車料金を自費で払わされました。生徒指導上の課題を抱え、研究授業どころではない学校もありますが、中教研からは何の支援も配慮もありません。
このように子どもたちを置き去りにして、いったい誰のための「研究」なのでしょうか。

公金、PTA予算流用の疑惑

任意の研究団体ならば、その運営のための財源は会員の会費でまかなわれるのが常識です。小(中)教研の会費も当然一人ひとりの会員が払わなければなりません。しかし職員から会費を集めている学校はほとんどありません。
学校予算の中から全員の分をまとめて払ったり、PTA予算の一部を会費に充てていたりしている学校もあります。法的に問題はないのでしようか。

一般公務員とは異なり、教育公務員には自主的研修権が保障されています

「教育公務員特例法」の研修に関する規定は、憲法・教育基本法を受けて、教育公務員の研修が自主的な専門的研究と人間的な修養が必要不可欠であることを確認しています。
一般公務員の研修が「職務能率の発揮及び増進」のために主に任命権者が計画・実施するのと大きく異なっています。(下記参照)
 小中教研は法律に則り、任意団体として入・退会の自由があることを教職員に知らせ、押付けでない研修を行うべきです。

(参考)
教育公務員特例法
第21条 1項  教育公務員は、その職務を遂行するために、絶えず研修と修養に努めなければならない。
第22条1項  教育公務員には、研修を受ける機会が与えなければならない。

 地方公務員法
第39条 1項  職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。

   * 本法提案理由補足説明(1948.12.8・10 衆議院・文部委員会、文部省辻田調査局長)
「それから次に第三章におきましては、研修の事柄について規定しておりまして、教育公務員がその職責を遂行するためには、当然研究と修養に努めなければならないのでありますが、それは単に教育に従事しておる者の義務としてのみでなく、権利としても研修をなし得るような機会を持たなければなりませんので従来単に自発的に行っておりましたが、これを法の根拠のもとに行うことができるようにいたしたのでございます。
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