新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2020年3月10日火曜日

新型肺炎「休校要請」で現場は混乱!県教委、休校解除の基準を示せず

2020年2月27日18:00、安倍首相は新型コロナウイルス感染症対策として、「全国のすべての公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について3月2日から春休みまで臨時休校をおこなうよう要請」すると発言しました。新教労はこの「要請」について、あまりに唐突で現場の混乱が予想されるので、その日のうちに首相官邸、翌日に県教委と新潟市教委へ抗議し、申入れを行いました。(以下申入れ参照)
文科省は 2月28日付で「学校保健安全法にもとづく臨時休業を行うようお願いします」とする事務次官通知を教育委員会に出しながら、その日の夕方に萩生田文科相は「お願いするというもので、必ずしも一斉に休校の措置をするという内容ではない」等の無責任な態度に終始しました。
安倍首相は今回の「休校要請」は、行政主導であると明言していますが、臨時休校の時期などを含む新型コロナウイルス感染症対策については、各教育委員会や学校が、児童生徒や地域の実態を踏まえ、主体的に検討し判断することが大切であると考えます。休校から一週間が過ぎ、今後どのように「休校」解除がなされるのか、早急に具体的な検討を求めます。

【首相官邸への申し入れ】

新型コロナウイルス感染への公立小・中・高校・特別支援学校の臨時休校について

本日18:00に安倍首相から指示された標記の内容について、あまりに各地域の学校、保護者、子どもたちの状況を無視した唐突な内容であり、今後混乱を招きかねないので断固抗議し、以下の申し入れを行います。
  1. 教育の地方自治の精神にのっとり、このような内容の決定はあくまでも各都道府県・市町村教委と学校であるべきである。どのような経緯でこのような決定が行われたかを明らかにし、上記機関へ連絡するとともに、各地の異なる状況を鑑み内容の変更・検討の余地を与える事。
  2. 北海道・大阪などすでに休校を検討した地域では、保護者が休めないなど、家庭での生活環境が整わない状況がある。保護者の休業補償や子どもたちの生活・保育環境を早急に整え、人員・施設などの予算措置を行う事。
  3. 休校に伴って、各学校の非常勤教職員に対する賃金補償は確実に行う事。
  4. その他、都道府県・市町村教委の要求には可能な限り応え、各地域の混乱を最小限にすること。

新潟県教委、決定は県知事、行政主導と認める

新教労は3月6日、新潟県教委と交渉を行いました。
県がどのような判断で「休校」決定を行ったのかを質問すると、県教委は、「権限上は教育委員会。ただし、知事が何も言えないかというと総合調整権ということで知事が教育長に対して指示をできる状況がありますので、そういう中で決まっていったものと承知をしています。通常、教育委員会、定例会の中で合議制でやるわけですけれども、知事のご意向も踏まえて判断した」と回答しました。
埼玉県など、特別支援学校を休校にしていない県もあるのに、新潟県は各学校の状況を判断せず、一律知事の意向により教育委員会が「休校」を決定したことが明らかになりました。

市町村立学校への指示はあったのか

市町村立学校(新潟市を除く)へは、県教委からはどのような指示があったのでしょうか?これについて県は、「市町村教委には、県の方としてこういう決定をしました。県立学校はこうしますというのを、情報提供した」と回答しました。それによって各市町村教委の中には、3月2日を休校にしないところもありましたが、県としては市町村教委の判断なので、それでよいという判断を示しました。
また、今回の「休校」で各地にいろいろな問題が出ていますが、県は細かくその状況を把握しておらず、その対応については市町村で対応していただきたいというあいまいな姿勢を示しました。

「休校」解除の基準や判断は?

今後どのような基準で、この休校が解除されるのでしょうか。これについて県は、「各教育委員会の判断でということになろうかなと思います」と回答しました。「国の方からの情報を見ながらということになろうかなということになると思うんですけれど。子どもたちを守るという意味で安全な環境になった上での判断になりますので」と回答しつつ、具体的な基準は示しませんでした。
休校解除にあたっても、主体性のない対応が予想されます。
学校は、給食もあるし、遊び・身体を動かす場所もあるし、養護教諭はじめ、先生方も日々健康観察をしており、子どもたちの発育・発達を保障できる場所です。一方的な行政判断の「休校」は子どもたちの教育権を奪うものです。

未履修に対する補習を義務付ける?学力テストは?

授業の未履修には何らかの手当てをしなければならないと思いますが、文科省は「標準時数を下回ったことのみをもって、学校教育法施行規則に反するものとはされない」と説明しています。しかし、県教委の佐藤理仁義務教育課長が「学校が再開してから新しい学年の学習が始まる前、場合によっては夏休み期間の補習なども行われる可能性がある」と県議会で答えたと、マスコミが報道しています。現場の意向も聞かず「休校」を行い、未履修については「夏休みの補習」をほのめかす県教委は現場の状況を全く理解していません。
組合は県教委に、(1)未履修については、市町村なり現場に、弾力的に運用をしてもらいたいと指示していただきたい (2)文科省に、学力テストの今年度の中止要請をしていただきたいと要望しました。
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