新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2023年1月23日月曜日

2023年度人事異動 県、人事異動「内規」の存在を明言、公表せずに学閥の恣意的人事が拡大する恐れ

新潟県は他県にはない「学閥」が人事へ介入し、学閥加入者は同一派閥校に異動先が限定され、その他の教員よりも優先的に異動先が決まるという、差別人事が行われています。また、学閥に加入していなければ管理職にはなれません。組合は「教育は、不当な支配に服することなく行われるべき」という教育基本法に反していると、運動し続けてきました。

組合は昨年末に「人事異動申入れ」を県と新潟市に行い、これまでの問題点を指摘し、学閥による不公平な人事をなくすように強く求めました。

【県教委交渉の内容】

公に知らされていない「内規」で実際には人事が行われている矛盾。「内規」を知らない校長も!?

  県の人事異動方針では、教員採用後6年間(原則2校目まで)はC・D地域(自宅から25㎞以上)に勤務することになっています。しかし、民間経験や講師経験があって、1校目終了時点で35歳以上の教員は、2校目はA異動(25㎞未満)になるということが判明しました。

  この内容は「異動方針」には掲載されておらず、教職員には示されていませんが、県は「内規」であると回答しました。

【交渉の結果から】

(組 合) それ(内規)について、全く職員に知らされていないですよね?

(県教委) 「内規」のレベルなので公には知らされず、個別の時に話をしている。

(組 合) その方(該当者)には校長を通じて話が入るのか?35歳以上か?

(県教委) 人事異動の会議を通して教育委員会が聞き取りを行うわけだが、そういう方がいる場合は話をしている。「内規」ですので、あえて公にしていないので、その辺をご理解していただいた上での扱いになりますので。

(組 合) 本人はC異動になると思ったが、県から「内規」を言われたが、校長からは一切知らされていなかった。

(県教委) 35歳だと通常は1校目と2校目も県が配置するのだが、校長はもしかして、内規の中身を知っている人と、知らなかい人とかがいて、その校長はもしかして知らなかった。知らなかったので、Cに行くものだと思っていて、そういう手続きをされたのだが、後から「実はこの方はこういう立場の方なので、行かなくてもいいですよ」という事を後から知ったのではないか?想像ですが。

(組 合) はじめからそのように本人に伝えていただけなければ・・。

(県教委) 本人に伝える事ができるということであれば、人事異動で「公」になって記載される内容だが、いろいろな事情があって、「内規」という事であえて、こちら側だけのものにさせていただいているために、そういったことが起きているというのが実際のところだと思う。

過去にも、特別支援学校の寄宿舎指導員人事で、組合の追及により「内規」の存在が明らかになったことがありました。県教委は「内規」と「学閥」との関係を否定しましたが、この内規が「学閥人事」を有利に進める可能性は大いにあり、大問題です。県教委は「毎年人事異動方針は見直されている」と言いましたが、見直された内容は「内規」も含めて確実に全教職員に知らせるべきです。

再任用や定年延長の場合でも、
本人のライフプランに沿った丁寧な人事異動を求めます

教員の確保が困難になる中、定年後の再任用の希望は増えています。また、来年度から定年延長が実施される前提での人事異動になるので、今年度末時点で58歳、59歳の方は、申請書を提出することによって、6年、7年までの残留が認められます。
長年教育現場で頑張ってこられた教職員に対して、再任用や定年延長をちらつかせての人事異動や校務分掌でのパワーハラスメントはあってはならないことです。組合はこの点においても本人の希望を丁寧に聞き取り、納得のいく人事異動を行うように求めました。

【新潟市教委交渉の内容】

政令市から県への異動は、再受験が基本、
なぜ残す?「研修異動」と「公募制人事」

どこの政令市でも市から県の教員になるためには、教員採用試験を受けなおす事が原則です。しかし、新潟市は他の政令市にはない、県との「人事交流制度」を2つ残しています。昨年令和3年度末人事では、その一つの県との「研修交流制度」人事で県への異動は1名でした。もう一つの「公募制人事」での県への異動は1名でした。
なぜ「研修交流制度を残すのか」と問うと、「新潟市は都市部の勤務が多いが、市では経験ができない場所での経験を経ることにより教員としての豊かな資質を伸ばしていくということになる」との回答でした。市として教員確保が困難であるのになぜ教員を県に出したいかは全く疑問です。
また、本人の希望に添って研修交流を行っているのかと問うと、「今の現状はそうであるが、必ず今後もそうだとは言い切れない」と回答しました。
新潟市内最大派閥(ときわ会)の人事の補充のために、教員を市外に異動させざるを得ないということが考えられます。本人の希望でない人事異動が行われるのならば、人権問題です。
【交渉の結果から】

(組 合) 「研修交流制度」での異動では県の「教員確保困難地域に回される」という方針ですよね
(市教委)  県の制度の設計がそうなんです。教員確保困難地域に市から教員を送るためではなく、県の方に確認しながら4つのエリアで進めていますが、実際行くっていってもみんな
そうかというと実際にはそうではない。
                                        ( 中 略 )
(組 合) 3年後戻ってくるのが前提だが、戻ってきてA異動でも、ほとんどの方は市内ではA異動なわけで。管理職候補ですか?
(市教委) いえいえ、そんなことはないです。管理職の登用には影響しない。
(組 合) 本人の希望でないところでの異動にならないように重ねてお願いしたい。

(組 合) 教育困難地域に出すと言うことになっているが、そこへ行かない人がいると言うことはどうしてそうなるのか?本人の希望なのか。
(市教委) 本人の聞き取りを丁寧に行っているからである。全く県の異動なのでそこに空きがあればそこに行くが空きがなければもっと奥に行くこともある。
(組 合) 本人が新潟市から外へ出て学びたいと思って4つのエリアに行くかと思っていたら、本人の希望でないところに配置されるのに、「本人の希望」だというのは分からない。
(市教委) 研修交流の制度は新採用1校目を終わった方を交流にするのが大前提で、新潟市の事情でないところで自分の力を伸ばしていきたい。

学閥人事による教員の偏りが市内学校教育を困難にしている

新潟市は、各地域の小学校と中学校に同一派閥管理職を配置しています。小・中連携を行いやすくするのが方針なのでしょうが、逆に馴れ合いを生じさせ、市教委との情報交換を困難にしています。
また、中央区を頂点として各区に派閥の「中心校」が存在し、「中心校」以外の学校には再任用者や非正規教職員が多く配置されるなど、偏った配置が見られます。
  

【交渉の結果から】
(組 合) 再任用者や臨時教員が多く配置にされることによる困難さは把握されているのか?
(市教委) 異動会議の席で校長からは現状の学校の状態であるとか、来年度の構想とかで聞いている。
(組 合) いくつかの中学校で「ときわ会」でない学校で、現状の困難さを聞いている。中学校ばかりでなく、「ときわ会」でない小学校の教員が、異動でまた同じ学校に戻ってくるということも聞いている。中学校では教科でそのような事もあるかも知れないが、小学校の教員の出戻りは地域住民や我々にもよく見えている。そのような事がないようにしていただきたい。
(市教委) 研修団体(学閥)が異動や採用に絡んでいるということはない。教育委員会が適材適所で行っている。


学閥の恣意的な人事を許さない!
おかしいと思ったら人事異動SOSへ

「学閥による人事異動への介入」は、違法であり、新潟県のみに見られる後進性です。
県も市も、「何かあったら個別に対応する」と言っています。泣き寝入りせずに組合へ!

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