新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2013年10月14日月曜日

体罰調査アンケートでパワハラ発覚!―校内で内容を精査せず報告 長岡市管理主事から暴言を受け、抑うつ症に!―

体罰調査アンケートでパワハラ発覚!

校内で内容を精査せず報告 長岡市管理主事から暴言を受け、抑うつ症に!

長岡市立小学校教諭・A先生に対し、今年2月末に行われた「体罰調査」に関わって、校内で十分精査されずに「体罰報告書」が長岡市教委に報告されました。その内容を鵜呑みにした市教委管理主事のパワーハラスメントで、A先生は抑うつ症を発症してしまいました。
組合は、県教委に「このような人権侵害を早急にやめさせる」ように申し入れしたのにもかかわらず、「この問題は長岡市教委の問題」と、県教委は真摯に対応せず、逆に「体罰処分」をちらつかせて本人への事情聴取を繰り返しました。



手のかかる低学年児童への、熱心な指導は「体罰」なのか?

今年3月上旬、A先生は突然校長に呼ばれました。そして2月末に保護者・児童に対して行われた「体罰調査」の報告を受けました。
  1. A先生にかかわることで15件以上の記述があったこと
  2. 1年生の記述が多かったこと(A先生は3つの学年の体育を担当していた)
  3. 記述の内容は、体育の授業時に「頭をたたかれた」「手を引っ張られた」というものであった
A先生に体罰の心当たりはなく、「授業を頑張ろう」という意味で、頭をポンと押さえたり、並ばない児童の手を引き、並ばせたりしたことはありました。中には「顔をビンタされた」や「用具を蹴った」などという、まったく身に覚えがないものも含まれていました。
しかしこの時、校長はA先生に対し、保護者や児童名、その具合的な記述内容などを明らかにせず、十分な事実確認とは到底言えるものではありませんでした。また、これまでA先生には保護者からの苦情は一切なく、教頭からは「親に謝罪しなくて良い、私が謝っておく」とだけ言われました。

長岡市教委B管理主事、怒鳴る・なじるのパワハラ「指導」

ところがその後、「体罰調査」はほとんど精査されずそのまま市教委へ報告されました。A先生は3月21日、校長とともに長岡市教委へ呼び出され、長岡市B管理主事(現中越教育事務所)から「担任をしないのはお前の資質がないからではないか」「子供たちは体育の授業に出たくないと言っている、どんな指導をしてきたのか」と罵声を浴びせました。「件数が多い。常態化しているのではないか。子供に対して悪いと思わないのか、謝る気持ちはないのか」と一方的に非難されるばかりでした。この日から、A先生の心身に変調が起こり、医者へ行ったら、躁鬱症の診断でした。
その後、すべての件について事情聴取はないまま、市教委は「体罰」と判断して、3月25日県教委へ報告しました。
4月1日、校長が変わり、「体罰をした児童ならびに保護者に謝罪しなさい」と言われ、その時初めて「体罰調査結果」を見せられました。新年度、A先生はまったく希望していない教科をTTとして持たされ、研究教科である体育を外されました。これはあきらかなペナルティー人事です。

県教委義務教育課(管理企画係)、執拗な事情聴取と脅し

県教委・市教委からの再三にわたる「体罰用報告書」の記入・提出の求めに対し、A先生は8月に入り、不本意ではありましたがこれに応じ、その中であくまでも指導の一環であったことを堂々と主張しました。その後、長岡市教委と県教委はA先生を呼び出して長時間の事情聴取を行いました。
ところが、その後立て続けに二度にわたって県教委の義務教育課管理企画係は、A先生の学校にまで押しかけ、執拗な事情聴取を繰り返しました。長時間本人を拘束しての、この行き過ぎた事情聴取により再びA先生は体調を悪化させました。
組合はこの県教委の対応に対し、すぐに行き過ぎた事情聴取をやめるように申し入れを行いましたが、管理企画係は「体罰に時効はない」「この申し入れは上には上げない(私止まりである)」と開きなおりました。

一方的な体罰調査はパワハラを生じさせる懸念

今回の「体罰調査」は、当初から以下のような問題点が指摘されていました。
  1. アンケートの事実確認方法が学校によってばらばらであり、管理職による恣意的な指導(パワーハラスメント)を生じさせる懸念がある。
  2. アンケート結果について、本人に十分な弁明の機会が保障されておらず、本人の人権が損なわれる可能性がある。
  3. 体罰の判断基準があいまいで、各学校の子どもの実態や教育条件の違いから、「指導」との区別がつきにくい。よって、保護者の不信を招き、子どもとの関係を悪化させ、教職員の同僚性を奪う懸念がある。
このような問題が予想されたのにもかかわらず、適切な指導や事実確認を県教委は怠って、今回のパワーハラスメントを生じさせたと言えましょう。
このようなアンケートを今後も実施するのか県教委に質問したところ、「やるとも、やらないとも言えない」とあいまいな回答でした。
県は市教委の独立性を主張しながら、文科省の指示にはそのまま従い、結局、問題が起きても責任を取ろうとしない態度です。
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