新潟県の小学校・中学校の教職員組合

2016年8月19日金曜日

県教委が報復人事 残留を勝ち取るも、昇任を取消される

今年2月、寄宿舎指導員(県立新潟盲学校)は県から主任指導員への昇任を告げられ、春には念願の主任昇任を果たせるはずでした。しかし、県は寄宿舎指導員の希望を一切無視して、3月15日に上越特別支援学校への異動を内示しました。  これまで、新潟市内の寄宿舎指導員の昇任に当たっては、すべて市内の学校間での異動が行われてきました。家庭状況からも、到底この上越への内示を受けいれられないことや、この内示は昨年の裁判提訴(*1)の報復人事に等しいものであることなどを、組合を通して県に訴えた結果、内示は撤回され、盲学校の残留になりました。(ただし、3月25日の人事異動の新聞報道は「上越特別支援学校」で掲載されました。) しかし県は、「異動ができなかったので、2月に約束した主任昇任を取り消す」という措置をとり、結局、寄宿舎指導員は昨年度同様に異動も昇任もできず、現任校12年めの勤務を強いられました。(*1)異動希望があるのに異動もさせず、昇任資格があるのに昇任させない県と元校長を提訴しました。

ヒアリングも経過説明も行われず、既に決まっていた上越への異動!

~主任異動の異動希望、女性は考慮?男性は無視?~

県は「昇任が決定した後に、本人の異動作業に入る」と言ったので、寄宿舎指導員は「3歳と5歳の子どもがいるので遠方はやめてもらいたい」と校長にお願いしました。  ところが2月24日、寄宿舎指導員は校長に呼ばれ、「今回は主任異動なのでA(20キロ未満)B(20キロ~35キロ未満)地域になるとは限らない」と告げられ、「一般異動なら異動先の希望を聞くことができた」「今までの主任異動は(新潟)市内でまわっていたが、女性だから家庭事情も考慮されたのだろう」と言われました。本来校長は、異動先の希望についてヒアリングを行わなければならないはずです。 3月4日、組合は県義務教育課に対し、(1)昇任決定後の異動について、校長に丁寧なヒアリングを行わせること、(2)希望以外の異動ならば、本人にその旨を伝えることの2点について申し入れを行いました。 対応した宮野管理は「本人が希望しないC地域(35キロ以上)への異動、生活破壊を招くような異動はさせない。その場合は経過説明をする」と回答しました。 ところが、3月8日、寄宿舎指導員は校長に「一般異動とは違う。経過説明はCであっても行わない」と、県と逆の事を言われ、内示まで本人に一切の経過説明はありませんでした。

報復人事としか思えない県の暴挙!暴言!

~人事異動で脅す、県の主任昇任要件は人権侵害~

 3月15日,校長から告げられた異動先が「上越特別支援学校」と分かり、 3月16日、組合は県義務教育課に、今回の上越への異動内示は不当な人事であることを訴え、以下の要求をしました。
  • ヒアリングも経過説明もない今回の内示は絶対認められない。本人の希望を無視した生活破壊を招く上越の内示を撤回し、本人の希望に沿った異動を行うこと。
  • 異動先がなければ、寄宿舎指導員に居なり昇任(*2)を命じること。
 これらの要求に対し、大橋管理は「主任試験の面接で『県内どこでも行けるか?』と聞いた時に行けると言ったはずだ。だから、県内ならばどこに異動させようが問題はない。120キロはC異動。」と言ってのけました。 また、飯塚管理は「公務員なら内示は一発で受けなければならない」と、教員の人事異動方針を全く理解していない発言を行いました。(*2)異動をせずに昇任すること。昇任の際に異動を伴う事を条件とするのは全国でも新潟県だけ。

残留決定、昇任は取消し!

~居なりを認めず、新潟だけが昇任と異動がセット~

3月24日、校長からに残留が伝えられました。生活破壊をもたらす異動は阻止できましたが、異動できないという理由で、主任昇任が取り消されました。 寄宿舎指導員の主任昇任に異動を条件としているところは全国でも新潟県だけです。この不合理な条件を撤回できるように今後も運動を進めていく覚悟です。

支援学校の寄宿舎指導員そもそも・・・Q&A

  • 寄宿舎指導員とは?→ 特別支援学校の寄宿舎で、児童・生徒等の日常生活上の世話及び生活指導に従事する職のこと。以前は寮母と呼ばれた。教育職に該当する。
  • 主任昇任とは?  → 寄宿舎指導員は教育職1級が適用されており給与が低く抑えられているが、92年(H4年)度から「主任制」が導入され、主任になると2級適用になる。管理職登用の扱いではなく、一定要件を満たせばすべての人に適用される趣旨である。
  • 居なり昇任とは? → 異動せずに昇任すること。92年の主任導入時に県は「原則として昇任時に異動を伴う」という条件を課した。この要件は全国で新潟だけである。県内の寄宿舎は9つしかなく、村上特支の指導員の昇任は70キロもある新潟市内の支援学校へ異動するしかなく、不公平であり「居なり昇任」は切実な要求である。

どうなっているの?寄宿舎指導員人事

寄宿舎指導員の採用は93年から開始されました。(それ以前は「寮母」として地元採用がほとんどでした。)募集要項に「異動は教員に準じる」と記されています。ところが、県の異動方針にはどこにも寄宿舎指導員の異動は明記されていません。県に問い合わせると「教員に準じる」としか答えませんでしたが、裏人事の資料が発覚しました。

なぜ、12年も異動できないのか?

 教職員の勤務は最長7年(特例で1年延長)です。本人が望めば3年から異動が可能です。 しかし、寄宿舎指導員は異動を希望してきたのにもかかわらず、現在12年目の勤務を強いられています。このことからも県が責任を持って人事を行っておらず、派閥校長の関与が疑われます。

県も知らない「異動内規」が存在!

 実は、裁判の被告の小西元校長が昨年、県教委も知らなかった「内規」があると表明しました。この内規は、平成9年に県が新教組に示したものです。 「内規」は「寄宿舎指導員は12年~15年で異動させる」という、「教員に準じていない」内容が盛り込まれています。つまり、県の方針とは全く異なった異動が、特別支援学校校長間で行われていたということになります。

派閥の校長間人事を止めさせ、居なり昇任を実現しよう

 本来、寄宿舎指導員の昇任は管理職登用でもないので、他府県のように異動は必要のないものです。ところが新潟県では導入時に「異動」を義務付けました。これにより、派閥校長が恣意的に昇任させることが可能となり、人事異動で差別されるという事態を招いています。このような県は全国でも新潟県しかありません。 昇任に際しては、
  1. 異動と切り離し、「居なり昇任」も認めること
  2. 夜勤勤務もある寄宿舎指導員独自の人事異動方針を県が策定すること
  3. 学閥人事を止め県教委が責任を持って異動作業を進めること
を強く訴えたいと思います。
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